_ 自由規制マーク

自由利用マークとやら、impress によるとインターネットでの送信や放送、また変更や改変、部分利用などは認められていないとのこと。自由利用マーク＠文化庁によると「コピー(プリントアウト・コピー・無料配布)OK」マークのみの場合、「インターネットなどによる「送信」や「放送」「有線放送」をすること」がダメだそうです。「ハードディスク[中略]に蓄積すること」は良いというのですけど、ハードディスクにコピーしたらたまたま public_html 以下だった、というのはどうなるんでしょう。

これ、昨年九月から検討されているようで、十二月には検討結果の報告が出されていたみたい。個人的には先月24日の朝日記事で知ったのですが、読みながら脳ミソがわいてきました。三種のマークの内容も、よく読まないと理解できない代物です。先の報告書によると、あわせて罰則の強化を考えているふしがあるので注目していました。「コピーOK」マークのみの場合、コピーが許可されているというより、むしろ「変更、改変、加工、切除、部分利用、要約、翻訳、変形、脚色、翻案など」はできないという問題があります。この文章のように引用することは、著作権法第32条の「報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内」によって認められているはずなんですが…..;

致命的なのは、以下の三点にあると思われます：

1. 複製技術の変化への対応が場あたり的,
2. 予想外の利用の仕方にまったく無配慮,
3. 派生という利用の仕方を軽視しすぎている.

これに対して Creative Commons の方は、クレジットを明記する必要性(属性)、商用利用の禁止／許可、派生作品の禁止／許可、(派生作品の場合)ライセンスの継承、といった機能の組合せでライセンスを定義するものであり、それぞれの意味が明確です。なかでも最も重要なのが、ライセンスの継承の機能。派生や最利用というのは多くの Creative works に欠かせない方法で、例えばフリーソフトウェアの開発でこれを認めた場合、ライセンスの継承がないとだれかがクレジットをも書き換えて独占したりしかねません。ついこないだも/.Jで話題になってましたっけ。

そこで Stallmanが考えたのがGPL。この複製、頒布、改変に関する条件と制約の 2. b) に「派生した著作物を頒布あるいは発表する場合には、その全体をこの契約書の条件に従って第三者へ無償で利用許諾しなければならない」というコードを埋め込んだわけです。ここで重要なのは、一度でも GPL の下で配布されたものは、そこから派生したものすべて GPL の下で配布されなければならないという、再帰的なしくみです。GPL が Stallman の最高の hack のひとつたるゆえんです。

Creative Commons をつくった Lessig は、このアイディアを受け継いで同様に共有(Share Alike)というライセンスの継承の機能を導入したようです。たとえば、Attribution-NonCommercial-ShareAlike で音楽を売ることも出来ます。商用利用でなければ自由に利用することができます。もちろんここでいう利用には remix のような派生作品の創作も含まれます。remix 版を売りたいという場合には、個別に原著作者に連絡をとって交渉すれば良いわけです。これで、原著作者の許可なしに商用利用されることを制限できます。これは、四つの基本的な機能の組み合わせでなにを認めるか／認めないかを明示できるため、ライセンスの内容もとても分かりやすいものになっています。予想外の利用の仕方でも、この要件さえ充たしていれば良いので、思いもよらぬ創造的な利用ができるかもしれません。これが自由な利用というものでしょう。

このように比較すると「自由利用マーク」なるものがいかに不自由なものか、が明らかになるでしょう。これは、決して自由利用を推進するものなどではなく、結局、自由利用を規制するためのマークになっています。Creative Commons とはまったく方向性が逆です。個人的には、評価に値する点など皆無だと思います。みなさん、つかわないようにしましょう。

自由規制マークの詳細については、makina17さんのまとめも参照してください。openp2pさんのまとめも。

_ しれーと

ドメインもちになてしまた！運用は某さんぽぶ鯖におせわになります。すーさん多謝。

_ Eqbal Ahmad

Alt.Radio のデイヴィッド・バーサミアンによるインタヴュー集『帝国との対決 イクバール・アフマド発言集』が注目を集めているようです。田崎さんによる Pervez Hoodbhoy の書いたイクバール・アハマッドへの追悼文も、あわせてどうぞ。ベトナム戦争当時の様子、とくにMITにおける運動の様子がよくわかって興味深いものです。

_ わー、毎日新聞[2月11日0:06]イラク問題：攻撃支持派２１カ国 各国の対応をみてるとまるで世界大戦の様相。不支持だからって攻撃対象にされることはなかろうけども。